韓国外交部(省に相当)の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官は6日午後4時30分、長嶺安政・駐韓日本大使を同部に呼び、日本政府が同大使らを帰国させ、通貨危機の際に外貨を融通し合う「韓日通貨交換(スワップ)協定」の再締結協議中断を宣言するなどの報復措置を取ったことについて遺憾の意を伝えた。また、趙俊赫(チョ・ジュンヒョク)同部報道官名義の声明では「日本政府が釜山日本総領事館前の慰安婦を象徴する少女像と関連して決定した措置を非常に遺憾に思う。両国間に困難な問題があっても、信頼関係に基づいた韓日関係を引き続き発展させていくべきだということをあらためて強調したい」と述べた。
ひとまず「非常に遺憾だ」と表明したものの、韓国政府内部が困惑しているのは明らかだ。日本政府は「在韓日本大使館と釜山日本総領事館前への少女像設置は外国公館の品位を傷付けることを防止するよう求めた『領事関係に関するウィーン条約』第22条に反する」と主張している。ウィーン条約の解釈にはさまざまな意見があるが、国内の法的根拠が不十分な状況であり、日本を説得する論理が整っていない。
少女像は道路法上、道路占用許可を受けられるよう規定された施設物ではない。ソウル市鍾路区の在韓日本大使館前と釜山日本総領事館前に設置された少女像は、どちらも市民団体が法的手続きを経ずに設置したものだ。だが、国民感情を考慮すると撤去もできない。韓国政府当局者は「長い目で見て問題解決していくしかない。韓日通貨スワップ協定の協議再開も引き続き要求していく」と語った。
企画財政部(省に相当)は今年10月に満期になる韓中通貨スワップ協定を延長しようと、水面下で交渉を行う方針だ。政策当局周辺では、今年の大統領選挙後、新政権が発足したら、韓米通貨スワップ協定を再締結できるよう外交努力をすべきだとの声も上がっている。米国をはじめとする先進7カ国(G7)はG7諸国同士で通貨スワップ協定を締結しており、新興国とは「実益がない」という理由で通貨スワップ協定締結を敬遠する傾向がある。
現在、韓国は中国・インドネシア・オーストラリア・アラブ首長国連邦・マレーシアの5カ国と二国間通貨スワップ協定やチェンマイ・イニシアティブ(CMIM)体制による多国間通貨スワップ協定などを合わせ、合計1200億ドル(約14兆円)規模の通貨スワップ協定を結んでいる。