経済協力開発機構(OECD)は加盟国を対象に「生徒の学習到達度調査(PISA)」を3年ごとに行っているが、2015年の調査において韓国はOECD加盟35カ国中「読解力」が3-8位、「数学的リテラシー」が1-4位、「科学的リテラシー」が5-8位という結果に終わった。前回(2012年)は「読解力」が1-2位、「数学的リテラシー」が1位、「科学的リテラシー」が2-4位だったことから、今回はどの分野も大きく順位を落としたことになる。ちなみに成績上位の生徒たちについては前回とほぼ同じ割合となったが、下位に属する生徒の割合は「読解力」が7.6%から13.6%、「数学的リテラシー」が9.1%から15.4%、「科学的リテラシー」が6.7%から14.4%と大きく増えていた。
韓国教育部(省に相当)が行っている学力調査でも、いわゆる「落ちこぼれ」の生徒が大きな問題となっている。中学と高校で「基礎学力が不十分」とされた生徒の割合は2012年には2.6%、14年には3.9%だったのが、今年は4.1%に増加した。試験の回数を減らすなど学力重視の方針を転換したのが大きな原因となっている可能性が高いだろう。李明博(イ・ミョンバク)政権の時は学校ごとに基礎学力が不十分な生徒の割合を公表し、校長や教師らに刺激を与えることで落ちこぼれを減らす効果があった。しかしこのような政策は今はさほど厳格に行われていない。
今回のPISAで日本は数学と科学において1位となった。日本は2002年から教育政策において創造性と自立性を重視する方針に転換し、授業時間を10%、学習内容を30%も減らして体験学習の時間を増やすという、いわゆる「ゆとり教育」を実施した。ところが06年のPISAでどの分野も10位以下にランクが落ち込み、日本社会全体に衝撃が走った。これをきっかけに日本は「教育の再生」を掲げ、学習内容と授業時間の双方を増やして学力向上に力を入れ、今回再び上位にランクインした。韓国における生徒たちの学力の低下が、日本の教育政策を踏襲したことに原因がなかったか改めて反省すべきだろう。
生徒の学力レベルが低下傾向にある現状については、これを教育分野における国家的な課題と認識し、早急に対策を立てていかねばならない。ところが今は政情があまりにも不安定で、今回生徒たちの学力が低下したというニュースもさほど注目を集めていないようだ。教育分野における競争力は10年、20年後の大韓民国の競争力をも左右する重大な問題であることを誰もが忘れてはならない。