35年も別人になりすました64歳女、隣人に詐欺働き御用 /利川

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 ソウル郊外の京畿道利川市に住むAさん(74)は昨年7月以降、10年来の隣人のムンという女性(64)に数回にわたり計8500万ウォン(現在のレートで約800万円、以下同じ)を貸した。日ごろからトウガラシの栽培など集落の面倒な仕事を手伝ってくれ、教会にも通っており誠実な人と信じていたためだ。女性は自身について、殉職した軍人の妻で年金を受給していると語っていた。「夫の墓がある」と、近所の人と一緒に国立墓地の国立大田顕忠院に出かけたこともあった。

 Aさんは「子どもたちの留学費用がいる」「生活が苦しい」といった理由で借金を申し入れてきた女性のため、土地を担保に融資まで受けた。だが、女性は先月19日ごろ突然姿を消し、Aさんをはじめとする隣人たちは初めて詐欺に遭ったことを知った。被害者は全部で8人、被害総額は4億ウォン(約3800万円)に達した。

 警察によると、ムンと名乗っていた女性の本名は「チョン○○」で、35年も別人になりすましていた。女性は1980年、北中部の江原道・原州の家を出て夫と離婚。住居不明で住民登録が抹消されたが、偶然拾った他人の住民登録証2枚(ムン某、イム某)を利用して別人として暮らすようになった。

 ムンと名乗り利川で暮らすようになったのは2005年からだった。大家のおばあさんに心から尽くし、教会に通って近所の人と親しくなった。一方で借用証に偽名を書き、借金を借りては返し、返しては借りるといったことを繰り返した。被害者の隣人たちは、女性が完璧に他人になりすましていたことに衝撃を受けているという。

 警察の調べで、この女性は01年から03年までは南西部の全羅北道・扶安でイムと名乗り、同じような手法で5人から約2億3000万ウォン(約2200万円)を借りて返さずに逃げたことが分かった。利川警察署は14日、原州で人目を避けて暮らしていたこの女性を詐欺容疑で逮捕した。女性は住民登録を復活させるため、役場に転入届を出したとされる。

利川=権祥銀(クォン・サンウン)記者
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