「現代自動車は本当に良い会社だね。うちの子には是非とも現代自動車に入ってほしいね」
7月から賃金交渉問題でストライキを展開していた現代自動車労働組合の組合員たちが9日間の夏休みを終えて職場に戻り、再びストライキを続けているという記事を読んだ同僚記者の言葉だ。そして、「ストライキ中に夏休みを取って、夏休みが終わったらまたストライキするのもおかしいが、ああいうことをしていても会社がちゃんと回っていると言うのだからもっとおかしいよ」と言った。
現代自労組は生産に過去最大規模の支障を来しながらもストライキを続けている。先月30日現在、24回目のストライキを実施して生産に支障を来しており、被害額は2兆7800億ウォン(約2556億円)に達すると推定されているが、会社側は静観している。むしろ、こうしたことがマスコミに知られることを望んでいないような雰囲気だ。消費者たちが現代自のストライキを「車の値上げ」「品質の低下」につながると受け止め、抵抗を感じていることをよく知っているからだ。事実、現代自のストライキを報じる記事には、「あんなことをしおいて、後でこっそり車を値上げするんだろう」「二度と現代の車は買わない」というコメントが相次いで寄せられている。
こうした状況の中、海外の工場建設は現代自が選択した自己救済策の一つだ。現代自はこの20年間で海外に11の工場を作った。これらの工場では約4万6000件の雇用が生み出された。一方、国内では1996年に牙山工場を建てたきり、工場の新設・増設を全くしていない。現代自の立場で言うなら、「労組のストライキ」「高賃金低生産性」問題で頭を痛めることになりそうなことは最初からしないと決めたものだろう。このため、今年1月から8月までの国内の自動車生産台数は初めて海外に逆転された。自動車産業は、全製造業の生産額の12.7%(189兆ウォン=約17兆3700億円、2014年現在)を占め、雇用人員だけでも176万6000人に達するほど、韓国経済に占める比重が大きい。しかし、生産工場の海外移転傾向が今の調子で続けば、就職難はさらに深刻になり、被害は求職中の若者たちやその後の世代が受けることになる。将来、わが子を現代自に入れるには、海外移民しなければならなくなるかもしれないのだ。