「私の名誉毀損(きそん)の問題ではない。慰安婦のおばあさんたちの名誉の問題だ」
朝日新聞の記者だった植村隆氏(58)は「慰安婦問題を否定する日本の歴史修正主義勢力の執拗(しつよう)な攻撃や言いがかりにより、日本でも言論の自由に圧力を感じ、慰安婦問題を積極的に報道しないなどの雰囲気が広がっている」と懸念した。これは、植村氏が26日、『真実 私は「捏造(ねつぞう)記者」ではない』韓国語版の出版懇談会で語った言葉だ。同氏は今年3月から韓国カトリック大学に客員教授として在職している。
植村氏は1991年に元従軍慰安婦として初めて公に証言した故・金学順(キム・ハクスン)さんの記事を韓国メディアより先に報道した。同氏は14年に朝日新聞を退職、北星学園大学の非常勤講師になった。しかし、日本の極右勢力は「慰安婦問題を捏造し、日本の名誉を失墜させた捏造記者」と執拗に攻撃、大学側に解雇を要求するなどの圧力を加えただけでなく、「娘を殺害する」と脅迫までした。
植村氏は昨年、自身を「捏造記者」と非難した週刊誌「週刊文春」などを相手取り、名誉毀損に当たるとして訴訟を起こした。日本の人権弁護士約270人が同氏のために弁護人団を構成した。同氏は「先日、韓国映画『弁護人』を見た。多くの弁護士が弁護に立つ最後のシーンは、私が直面している状況と少し似ていると思った。とても感動的で、つらいことがあるたびに何度も見てしまう」と述べた。植村氏はこの日の懇談会で、日本語のイントネーションが少し残っているとは言え流ちょうな韓国語で質問に答えた。朝日新聞在職時の1987年にソウルで語学研修をして韓国語を学び、96-99年にはソウル特派員を務めた。
昨年12月の韓日政府慰安婦問題合意について、植村氏は「日本政府は『お金だけ払えばすべて終わりだ』と考えるのではなく、『歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい』と明言した93年の河野談話の精神を継承するという意志を示すことが重要だ。慰安婦問題は終わりではなく、たった今始まったばかりだ」と言った。自身の今後については「韓日の若者に慰安婦問題などを教えながら、韓日友好関係を形成する架け橋のような役割をしたい」と語った。