【コラム】「偽証の国」韓国を賑わす巧妙なうそ、ぬけぬけとしたうそ

 韓国の刑事訴訟法第157条は、証人宣誓について定めた条項だ。法廷に出廷した証人は証言に先立ち、「良心に従って隠し立てや作り話をせず、真実をありのままに述べ、もしうそ偽りがあった場合には偽証による罰を受けることを誓います」という内容の宣誓文を朗読することになっている。条文の最後の項目は「宣誓は起立した上で、厳粛に行わなければならない」と定めている。

 この条文は今、韓国でその威厳を失っている。偽証罪で処罰される証人の数が、隣国・日本の数十倍に達しているからだ。処罰の対象にならない偽証まで含めると、さらに深刻だ。偽証は真実の解明を妨げる最大の要因だ。「無信不立(むしんふりゅう、信なくば立たず)」という言葉があるように、真実を明らかにする能力を失った社会は不信感だらけとなり危機に陥る。先進国で偽証を「司法妨害罪」として厳しく処罰しているのも、このような理由によるものだ。米国のニクソン元大統領やクリントン元大統領のように、「司法妨害罪」で大統領を弾劾裁判に追い込むこともある。

 韓国はどこでボタンをかけ間違えたのか、「偽証の国」という汚名を着せられる状況になった。「いつまで上流(階級)のせいにするのか。今や下流の問題も追及すべきではないか」という自省的な声も出ている。実際、よどんだ下流の水があふれれば、上流に逆流することもあり得る。だがそれは例外にすぎない。汚染源は上流側にあると考えるのが常識だ。

姜天錫(カン・チョンソク)論説顧問
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