1909年に安重根(アン・ジュングン)が伊藤博文・初代韓国統監を狙撃した中国・黒竜江省ハルビン駅。駅舎内には、今月19日に開館2周年を迎えた安重根記念館がある。ここで出会ったハルビン市文化新聞出版局の徐鶴東副局長(56)は「記念館を通して、わが民族の誇り・安重根を、中国人を中心に多くの人が知るようになり満足」と語った。朝鮮族3世の徐副局長は、記念館設立を主導したハルビン市の高官だ。2006年から安重根に関する史料を根気強く収集してきた。
記念館は、2年間で25万人が訪れた。休館日(毎週月曜日)を除き、毎日およそ400人が見に来ているわけだ。現地の人や韓国人観光客だけでなく、日本人観光客も訪れている。広さ200平方メートルの内部には、安重根の胸像をはじめ、幼年時代を伝える資料や安重根の東洋平和論についての説明資料が展示されている。一枚張りのガラス越しに、安重根が狙撃した位置や伊藤博文が倒れた位置を床に表示したプラットホームを見下ろすことができる。徐副局長は「安重根をテロリストだという日本のとんでもない話を、歴史的資料に基づき封じ込めたかった。安重根は平和を愛していた方」と語った。
記念館は、2013年に中国を訪問した朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が習近平国家主席に「安重根の狙撃現場に記念の標石でも設置できるよう協力してほしい」と要請したことにより、設立が検討された。日本が反対したが、中国政府が決断を下し、標石程度にとどまらず記念館を造ることにした。費用は全額、中国政府が負担した。徐副局長は「商業的価値が大きい駅舎内に外国人のための記念館を造るということ自体が異例」と語った。また記念館は昨年、中国政府が抗日戦争勝利70周年記念行事を大規模に挙行した際、中国全域にテレビを通して紹介されている。