数年前、日本の三重県内にあるパチンコ店の駐車場で、車の中にいた生後6カ月の赤ん坊が死亡した。親がパチンコに没頭している間に、12時間にわたり暑い車の中で放置され続けたのが死因だった。神奈川県でも親がパチンコをしている間に、9歳の娘が自宅で死亡する事件が発生し、警察は保護責任者遺棄の容疑で両親を逮捕した。日本で同じような事件はたびたび報じられており、最近はパチンコ店の従業員が駐車場の車の中を見て回ることも珍しくないという。
2014年に米国ユタ州のサンダンス映画祭で、ドキュメンタリー作品「ラブチャイルド」が公開された。この映画は、韓国の若い夫婦が生後3カ月の娘を死なせた事件を追跡したものだ。米国人女性監督によると、この夫婦は仮想現実の世界で「娘」を育てるゲームに没頭し、未熟児として生まれた本当の娘の世話をせず、時には虐待を行うこともあったという。夫婦はネットカフェで徹夜でゲームを楽しんだ後、自宅に帰ると娘が死んでいたと警察に通報した。捜査を行った警察は、この娘が長期にわたる栄養失調で餓死したことを後に明らかにした。
また2年前には生後28カ月の息子を自宅に放置し、ネットカフェでゲームに没頭していた父親が息子を殺害する痛ましい事件も発生した。ある日、いつもと同じようにネットカフェに出掛けようとしたところ、息子が泣き出したため、手で息子の口と鼻をふさいで殺害したという。昨年末には仁川市内の自宅で父親に監禁され、虐待を受け続けたという女の子がはだしで逃げ出した。体重がわずか16キロだったことから、一見すると6歳くらいに見えたそうだが、実際の年齢は11歳だった。1日中ゲームに没頭していたという父親は、この子に食事を与えることも、また学校へ行かせることもせず、何か気に入らないことがあるとすぐ暴行を加えていたという。
この事件をきっかけに、全国で長期にわたり学校を欠席している子供たちの調査を行ったところ、さらに深刻な事例が次々と明らかになった。例えば小学1年の息子に虐待を続けていたある父親は、子供が死亡すると遺体をばらばらにし、冷蔵庫の冷凍室に保管していたところを逮捕された。この父親も20代の初めころからゲームに夢中になっていたという。もちろんオンラインゲームに夢中になったからといって、誰もが犯罪者になるわけではない。しかしゲームには暴力の場面がたびたび登場するため、専門家によると、ゲームの影響で日常生活が営めなくなり、現実感覚が弱まってしまうようなケースもたびたびあるという。
欧米では戦争ゲームに没頭しすぎた末に、実際に銃を乱射してしまう事件も相次いでいる。それでもゲーム中毒者が子供に手をかけたという話は聞いたことがない。子供を育てて世話をするのは人間としての本能だ。心療内科の医師たちは「ゲームに没頭することでこの本能まで破壊されたのであれば、もっと根本的な部分で問題のある人間だ」と指摘する。具体的には人格の未成熟、あるいは共感力の不足といったことが考えられるが、ただそれでもこのコンピューターゲームだけはなんとかならないかと思う。「子供を育てるには地域のコミュニティーが必要」などともよく言われる。今は子供の養育を親だけに任せられない世の中になったのだろうか。