外国人の目に映る韓国は、イルカほどの図体を持ちながらも依然として「エビ・コンプレックス」にとりつかれた国だ。大国のはざまで「クジラのけんかでエビの背中が裂ける(強い者同士の争いに弱い者が巻き添えを食って損害を被る)」経験を繰り返すことで生じた、諦念(ていねん)的な集団心理とも言うべきか。朴槿恵(パク・クネ)大統領が夏休み中に読んだという書籍『韓国人だけが知らない大韓民国』を著したエマニュエル・パストリッチ教授は、エビ・コンプレックスについて「周辺大国の顔色をうかがわねばならない弱小国であることを踏まえた、常に気を付けていなければ国が滅びかねないという自虐的恐怖心」だと説明した。
英国人記者のダニエル・チューダー氏も『奇跡を起こした国、喜びを失った国』という書籍で「長きにわたり大国の橋頭堡(ほ)や戦略的資産として扱われてきたせいで、韓国では『味方でなければ敵』という考えに基づいた民族主義が発達している」と指摘した。
本当に、韓国特有の自虐的なエビ・コンプレックスがあるのだろうか。韓国の置かれた地政学的な立場は、ほかの国よりもはるかに厳しいのだろうか。今、地球上で一番「熱い海」となっている南シナ海を見ると、必ずしもそういうわけではなさそうだ。中国はこの海域の大半が自国の海だと強引な主張を繰り広げている。米国は南シナ海での航行と飛行の自由を名分に、中国の企てを阻止しようとしている。
中国は、南シナ海の領海をめぐる紛争を多国間の場ではなく2国間で解決すると言い張り、こうした立場を支持するよう周辺国に圧力をかけている。自国だけで中国に張り合えない国々は、米国と連携して対応している。だが、これらの国にとって中国が近隣国であり、重要な貿易相手国であることに変わりはない。国益に基づく原則を固守しながらも、米中のはざまで苦悩しているように見えるのは、こうした事情があるためだ。