韓国初の宇宙飛行士で、航空宇宙研究院を昨年退職したイ・ソヨンさんが最近、米国で宇宙関連の民間教育プログラムに参加したことが分かった。韓国が総額260億ウォン(約29億円)の費用を投じ宇宙飛行士として養成したイさんが、韓国ではなく海外で、宇宙飛行士になるまでの過程や経験を伝授していることになる。
国際宇宙大学(ISU)によると、イさんは今月13日(現地時間)、米国オハイオ大学で行われたISUのプログラム「SSP15(スペース・スタディーズ・プログラム2015)」に、宇宙飛行士のパネラーとして参加した。ISUは宇宙工学分野において世界でも指折りの民間ネットワークで、SSPは宇宙専門家を養成するための講座と訓練などを行う9週間のプログラムだ。ISUのウェブサイトには、イさんの写真が「ほかの参加者たちと共に地元メディアのインタビューに応じている」という説明文とともに掲載されている。
イさんは今月17日に行われた「宇宙飛行士に質問」と題する講座に参加し、1972年にアポロ17号に搭乗し月面に着陸した米国人ハリソン・シュミットさん、96年にスペースシャトル「コロンビア」に搭乗したカナダ人ロバート・サースクさん、2010年に国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在したイタリア人パオロ・ネスポリさんなどと共にステージに上がった。イさんは2013年、韓国系米国人の男性と結婚し、現在は米国シアトルに住んでいることが分かった。昨年には週1回、シアトルのボーイングフィールドにある航空博物館で、来場者を対象に宇宙での経験を語るボランティア活動も行ったという。
イさんは2012年8月、韓国の航空宇宙研究院に休職届を出し、米国に渡り経営学修士課程(MBA)に留学した。それから2年後、航空宇宙研究院を退職したが、その前後に行われた韓国メディアとのインタビューでは「宇宙飛行士になることが人生の目標ではなかった。11日間の宇宙飛行の話だけで一生食べていくのは困難ではないか」と語った。本紙はイさんが今後、どのような計画を立てているのかを尋ねるため、電子メールなどを通じ接触を図ったが、返答は得られていない。