韓国外交部(省に相当)の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官が10日前、ドイツを訪れた。今年に入って2度目のドイツ訪問だ。ドイツの外相と会談した翌日、尹長官はクロアチアを公式訪問した。韓国の外相がクロアチアを訪れるのは、1992年に両国が国交を樹立して以来初めて。続いて尹長官は米国に向かった。ワシントンDCで韓米原子力協定に署名するというのが、米国訪問の理由だった。しかし尹長官はワシントンに直行せず、あえて1日時間をつくり、先にニューヨークを訪れた。ここに滞在しているマレーシアの外相と会うためだった。
実際、韓国とドイツの間には、4カ月で2度も訪問せねばならないほど緊急の懸案はない。クロアチアやマレーシアも同様だ。尹長官が3日間で3カ国を回り、3カ国の外相と会うという異例のスケジュールを組んだのは、今月28日からドイツのボンで開かれるユネスコ(国連教育科学文化機関)世界遺産委員会(WHC)のせいだった。ドイツは、21カ国からなるWHCの委員長を務めており、クロアチアとマレーシアは委員国だ。この会議で、日本の近代化遺産23施設を世界遺産に登録するかどうかが決まる。23施設のうち7施設は、約5万8000人の韓国人が連行され、強制労働に従事した場所だ。
日本は、これらの施設について「1850-1910年」という対象期間を指定することによって、世界遺産の申請を行った。現在ユネスコには1007の世界遺産(産業施設は59)が登録されているが、今回のように特定の期間を指定して世界遺産の申請を行ったケースは初めてだという。こういうやり方で、韓国人強制動員の事実を隠せると考えていたらしい。23施設のうち、最もよく知られている場所が「端島」だ。長崎市から18キロ離れた場所にあるこの島は、100年前、日本初の鉄筋コンクリート製アパートが65棟も建つ主要な石炭の生産地だった。今では人が去り、古い建物しか残っていない。この不気味で珍しい姿のため、『007 スカイフォール』のようなハリウッド映画のロケハン地としても使われた。しかし、ここに連行された韓国人にとっては、生きて出られない地獄の島だった。