【社説】F1で巨額の赤字を抱え違約金まで支払う全羅南道

 国際自動車レース、フォーミュラワン(F1)韓国グランプリ(GP)の大会組織委員会が昨年と今年、韓国GPを開催できなかったことによる違約金として最大1億ドル(現在のレートで約120億円、以下同じ)を支払わねばならない見通しとなった。F1グランプリを統括する英国のフォーミュラワン・マネジメント(FOM)は「韓国GPが開催されないのは契約違反」として、違約金の支払いを求める通知をすでに組織委に送ったという。2012年6月、それまで韓国GPの運営法人だったKAVOから開催権を譲り受けた組織委には全羅南道が主に出資している。

 韓国GPは当初、当時のパク・チュンヨン前全羅南道知事が中心となって誘致し、2010年から13年まで4回にわたり開催された。ところが毎回数百億ウォン(100億ウォン=約11億円)の開催権料を支払っているにもかかわらず、観客動員数が非常に少なかったため、4回の開催に伴う累積赤字は1902億ウォン(約206億円)に達している。これに加えてサーキットの建設費用4285億ウォン(約465億円)やその他の費用まで合わせると、これまで投入された額は総額1兆ウォン(約1100億円)に達するものと試算されている。このように赤字が積みあがった現状を受け、全羅南道は14年に続き今年も韓国GPの開催を断念した。組織委は韓国GPを16年まで開催する契約をFOMと取り交わしているため、来年の不開催に伴う分についても違約金を支払わねばならない状況に追い込まれそうだ。

 全羅南道は2006年から大会の誘致に乗り出したが、実はこの時点から「赤字は不可避」との指摘は相次いでいた。ところが全羅南道は「地元の発展に大きく貢献する」という大義名分を掲げて誘致を強行した。同じようなケースは実は全羅南道だけではない。仁川広域市も2014年アジア大会開催のために1兆480億ウォン(約1140億円)の地方債を発行した。平昌冬季五輪も赤字が確実な状況であるにもかかわらず、国際オリンピック委員会(IOC)などからの分散開催の提案を全て拒否し、新競技場の建設を進めている。

 このように開催前後の見通しや財政の裏付けなど、あらゆる面でずさんな国際スポーツイベントの誘致にブレーキをかけられるのは政府しかない。今後、政府は事前の審査を強化し、条件を満たせない自治体には最初から国際的なイベントの誘致を認めないようにしなければならない。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
あわせて読みたい