ロッテ創業者長男、「辞任」でなく「解任」のワケ

創業者が選んだのは次男
-長男、父の怒り買った?
韓国ロッテ株購入が経営権争いと受け止められた? 実績も韓国ロッテに劣る
-次男、日本ロッテも総括?
「9合目に到達」との見方も、ひとまず専門経営者体制に

ロッテ創業者長男、「辞任」でなく「解任」のワケ

 日本のロッテホールディングス(HD)副会長だった辛東主(シン・ドンジュ、日本名:重光宏之)氏(60)が8日、日本のロッテグループの全ての役職を突然解任された。辛東主氏はロッテHD会長でグループ創業者・辛格浩(シン・ギョクホ、日本名:重光武雄)氏の長男。これで、ロッテグループ後継者の座は次男・辛東彬(シン・ドンビン、日本名:重光昭夫)韓国ロッテグループ会長(59)の側に急速に傾いたといえる。一部には「辛東彬氏は韓国と日本のロッテグループの双方を引き継ぐ9合目に到達した」という声もある。辛東主氏が昨年末の臨時取締役会でロッテ商事社長・ロッテ取締役・ロッテアイス取締役から解任されたことが明らかになった今月5日の時点では、「役員数の調整など、別の理由があるのではないか」との見方もあった。しかし、辛東主氏が持ち株会社のロッテHD副会長の座からも退くことになり、こうした見方も吹っ飛んだ。

 産経新聞(電子版)は同日、辛東主氏の解任について「ロッテ持ち株会社、重光宏之副会長を経営陣から追放 創業者の長男」と報じた。日本ロッテグループも韓国ロッテグループも辛東主氏の解任について「理由は明らかにできない」としているが、辛東主氏追放説についてもこれといった反論はしていない。

■「辛格浩会長は激怒しているようだ」

 辛東主氏の電撃解任については「父親の辛格浩氏が長男を追い出すほど激怒した出来事があった」との見方が支配的だ。臨時取締役会と臨時株主総会で、自ら退く「辞任」でなく、辞めさせられる「解任」が決まったからだ。日本ロッテHD関係者が「辛東主氏は日本のロッテグループの経営とは無関係な人になった」と一線を画したのも、辛格浩氏の心情を表している。ロッテグループ関係者は「昨年末からの一連の事態を見ると、辛格浩会長は何かのことで激怒しているようだ」と語った。

 ロッテグループ内には「辛東主氏が韓国ロッテの系列会社株を買い取ろうとしていたことと関係があるのでは」という見方もある。辛東主氏が2013年夏から韓国ロッテ製菓の株を買い集め、持ち株比率を3.96%まで引き上げたことが、辛格浩氏の怒りを買うことになったというものだ。つまり、日本のロッテグループは辛東主氏が、韓国のロッテグループは辛東彬氏が担うとした辛格浩氏の方針に対し、辛東主氏が逆らったのではないかという解釈だ。

 さらに、二人の経営実績にも大きな差が出ていた。辛東彬氏が率いる韓国ロッテグループは事業領域拡大や海外進出で積極的に規模を大きくしているのに対し、辛東主氏の日本ロッテグループは菓子事業や外食産業などに的を絞っているものの、目立った成果はなかった。 13年の売上高は、日本ロッテグループが5兆7000億ウォン(約6216億円)なのに対し、韓国ロッテグループはその約15倍に当たる83兆ウォン(約9兆520億円)で、関連会社の数は韓国が日本の2倍の74社だ。後継者を考えなければならない辛格浩氏からすれば、経営実績の高い次男・辛東彬氏を後継者に指名するのは当然というわけだ。

東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員 , 鄭晟鎮(チョン・ソンジン)記者
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