だが、大法院は「二人は恋愛関係にあった」と見なす正反対の判断を示した。「色とりどりのペンで手紙を書き、シールなどで飾っているのを見ても、少女が男に送った手紙は自身の感情を素直に表現したものと見るのが正しい」というのだ。
現行法上、未成年者との合意を経て性的関係を持った場合の判断は、未成年者の年齢によって違ってくる。13歳未満の未成年者は「真の合意」があったかどうかに関係なく、加害者を性的暴行で処罰することができる。しかし、13-19歳は偽計・威力があったり、性的関係に対する見返りがあった場合にのみ、処罰できる。つまり、両者の合意の下に見返りのない性交渉があった場合は処罰が難しいということだ。
しかし、裁判所内部でも「判事たちも納得しがたい判断」と指摘する声が上がっている。少女が出会って数日しかたっていない男を心から愛するようになり、自分の意思で性交渉したというのは常識的に考えてあり得ないというのだ。ソウル高裁のある判事は「たとえ少女が法廷で『(相手の)男を愛している』と証言しても、暴行されて子どもまで生んだ女子中学生の感情をそのまま『うのみ』にできるだろうか」と問い返した。
大法院が破棄・差し戻ししたため、この裁判はソウル高裁で再び行われることになった。男は現在、姦淫(かんいん)、性的暴行および未成年者誘引で起訴されているが、もし検察が差し戻し審で「偽計による姦淫(相手を誤認・勘違いさせた上での姦淫)」に訴状を変更し、男が少女をだまして暴行したと立証すれば、無罪から有罪判決に変わる可能性もある。この場合、裁判では男が少女を芸能人としてデビューさせると偽って性的関係を持ったのか、「恋愛感情があって性的関係を持った」と少女に思わせたのかが重要な争点となる。
このような問題を根本的に解決するには、現行法を改正しなければならないという意見もある。ソウル地裁の判事は「13歳という基準は、日本の植民地時代から変わっていない年齢だ。今からでも社会的合意や立法により『合理的な判断が可能な年齢』『性に関し自己決定権を行使できる年齢』を検討し直す必要がある」と指摘した。