「そこにいたら危ないですよ。降りてください!」
19日午後3時5分ごろ、ソウル地下鉄4号線明洞駅9番出口前で、観光ガイドが驚いた様子で慌てて叫んだ。その直前、中国人女性観光客8人が地下鉄換気口のふた(グレーチング)に載っていたのだ。観光客たちはスカートを手で押さえ、米国人女優マリリン・モンローのまねをして写真を撮ろうと、鉄製のふたに登ったり降りたりしていた。換気口のふたが周りのコンクリートにぶつかり、「バン、バン」と音がしていたためガイドが仰天したのだった。
明洞駅周辺に四つある換気口は全て高さが20センチほどしかなかった。明洞駅4番出口前の換気口は、午後2時50分からのわずか10分間で230人が通っていった。同じ10分間にこの道を通った250人のほとんどが換気口の上を歩いていったということだ。同2時45分には一度に42人が幅2メートル・長さ30メートルの換気口の上を歩いていった。45歳の男性は「換気口が崩れて人が死んだというニュースを見たが、換気口は歩道の大部分を占めており、避けて通ることはできない」と話した。
16人の命を奪った板橋テクノバレーの換気口崩壊・転落事故は、換気口がいつでも「死の絶壁」に変貌する可能性を示している。だが、ソウル市内には地下鉄の換気口を避けて通るのが難しい歩道があちこちにある。高さも歩道とほぼ同じで、フェンスも危険を知らせる警告文もない。歩いてもいいのか、自己判断で避けて通れというのか、一般の通行人たちが混乱するのも仕方ない。通行人が多い都会では、イベントやデモのときに地下鉄換気口の上に数十人が立っている姿を見ることもある。