日本で御嶽山が突然噴火し多くの死傷者が出たことを受け、韓国でも火山の噴火に対する警戒が強まっている。今のところ韓国で噴火の可能性が最も高いとされる火山は白頭山だ。米国のスミソニアン研究所によると、白頭山は過去4000年に10回噴火したと推定されるという。
中でも噴火の規模が最も大きかったのは、10世紀に発生したものだ。当時は噴火の影響で日本の東北地方にも5-6センチの火山灰が降り注いだほど。釜山大学地学教育学科のユン・ソンホ教授は「今の時代、都市部で火山灰がわずか1センチでも積もれば、陸上交通はどれもまひするだろう」と予想する。もし白頭山で噴煙が25キロ以上の上空にまで到達する火山爆発指数(VEI)5以上の規模の噴火が起これば、北東気流に乗って3時間以内にソウル市内にも火山灰が流入する可能性があるという。
ただし白頭山が噴火した場合、最も被害が大きいのは中国になりそうだ。北朝鮮では白頭山周辺にそれほど多くの人は住んでいないが、中国側は経済発展が進んでいることもあり、周辺の都市部などで数百万人規模の被害が発生する可能性があるという。10世紀に発生したとされる規模の噴火なら、火山灰による被害はもちろん、火山砕屑物や火山ガスが同時に流れ出る火砕流や、火山灰と泥が混ざり合った火山泥流は白頭山から半径60キロの範囲にまで到達するものと予想されている。また白頭山頂上の天池も、周辺の山が崩壊すればおよそ20億トンの水が一気に流れ出し、周辺では洪水被害も発生するだろう。
幸い、今のところ白頭山は安定した状態だ。白頭山の中国側に設置された観測機器の測定結果によると、2002年から09年の間に白頭山の地表は12.8センチ上昇したが、その後はまた少しずつ下がっていることが分かっているという。昨年から北朝鮮と共に白頭山の状況について研究している英国ケンブリッジ大学の研究チームも先日「今後短期間のうちに白頭山が大噴火を起こす可能性は低い」とする研究結果を発表した。