監査院「南大門復元工事は手抜き、再施工が必要」

伝統技法での塗装に失敗、化学接着剤を使用
施工が厄介な瓦、現代の規格に変更
木の柱の亀裂は「標準規格内の割れ幅」

監査院「南大門復元工事は手抜き、再施工が必要」

 「命脈の絶えた伝統技法で工期内に完成させようとして、丹青・地盤・金物・瓦などの不正工事を招いた」

 2008年に放火で焼失し、昨年5月に復旧工事が終了した国宝第1号「崇礼門(南大門)」の手抜き施工問題をめぐり、監査院は15日「工事は手抜きだらけ。塗装・地盤・瓦などは施工をやり直す必要がある」と発表した。監査院は、昨年12月から今年2月にかけて、文化財庁やソウル特別市など九つの公共機関を対象として「文化財の補修および管理の実態」に関する監査を行い、15日にその結果を公表した。監査院は「文化財庁は、断絶した伝統技法の再現・施工に必要な時間などを考慮せず、慣例どおりに工期(5年)を設定したため、これに合わせようと不正な施工が行われた」と指摘した。

(1)丹青匠、ニカワに化学接着剤を混ぜる

 最大の問題は、建物を塗装する「丹青」。文化財庁は、丹青を担当する「丹青匠」の名声だけを信じ、耐久性などが検証されていないニカワや「水干粉彩」などの技法を適用して予算を浪費、伝統技法の再現に失敗した。顔料が流れ落ちてニカワがまとわり付く問題が発生したため、丹青匠がひそかに合成樹脂接着剤をニカワに混ぜて使っていたことが判明した。その結果、ニカワと化学接着剤の張力の差が原因で塗装が剥げたが、文化財庁はこうした事実を知らなかったという。さらに丹青匠は、安い化学接着剤の利用によって、3億ウォン(現在のレートで約3000万円)の不当利益を得ていた、と監査院は発表した。また監査院は、丹青に塗った桐油を早く乾燥させるため、丹青匠が桐油とテレビン油を混ぜて崇礼門全体に塗ったことから、火災の危険性が最大4倍になったと指摘した。

(2)瓦の規格を勝手に変更

 瓦は、考証を経て、火災前の伝統的な瓦の規格通りに作ることになっていた。しかし業者から「施工が厄介」という意見が出たため、現在の韓国の国家規格であるKS規格に変更された。伝統的な瓦で再現するという当初の趣旨に反し、工場産の瓦のようなやり方で施工したわけだ。また、人力で土を混ぜて固めるという原則に反し、実際には土工場で加工した土を購入、使用していたことも判明した。しかし「冬場に凍結で破損する可能性がある」という疑惑については、監査院が韓国化学融合試験研究院と韓国伝統文化財学校保存科学研究所に試験を依頼した結果、耐凍害性能・吸収率・曲げ強さなどの点で、韓国産業標準を満たしていたという。

(3)伝統的な金物の再現に失敗

 伝統技法に対する検証もなく、安易に「伝統の金物で復旧する」と発表したものの、伝統の金物の再現に失敗した。文化財庁は、景福宮に保管されていた朝鮮王朝時代の金物を持ち出して利用し、足りない分は鉄工所で現代の金物を1万1965点(30.9%)購入、使用していたことが明らかになった。

許允僖(ホ・ユンヒ)記者
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