先月24日に京畿道坡州に墜落した北朝鮮の小型無人偵察機は当初伝えられていたのとは異なり、ソウル市内の大統領府のすぐ上を飛行して接近撮影していたことが明らかになった。
本紙が2日、北朝鮮の無人機が撮影した写真の一部を単独入手して分析したところ、無人機は事前に入力された経路に沿って坡州の近くから写真撮影を開始し、大統領府と景福宮のすぐ上を高度約1キロで飛行していたと推定された。
この写真のデジタル情報を分析した結果、無人機は大統領府の南東にあるソウル市鍾路区仁寺洞方面から西北に移動しながら、大統領府の敷地とその周辺の写真を撮影していたことが分かった。
写真の専門家らは「無人機の推定速度は時速100キロ程度のようだ。大統領府上空を20秒ほど飛び、大統領府春秋館と秘書室の建物、大統領執務室がある本館のすぐ上を順に横断している。途中で高度を上げたり下げたりはせず、同じ高度で飛んでいる。カメラのズーム機能は使われていないが、遠隔操縦が可能かどうかは写真だけでは分からない」と話している。
これまで軍当局は非公式ながら、北の無人機は大統領府に接近しておらず、写真も鮮明ではなかったと説明してきた。しかし、今回の写真で見たところでは、北朝鮮が大統領府を目標にして無人機を飛ばし、偵察・作戦計画を立てた可能性が排除できなくなった。北朝鮮が偵察ではなく、大統領府を標的とした自爆テロ用に無人機を飛ばしたとしたら、なすすべもなくやられるしかなかった恐れもある。今回発見された無人機は偵察用とはいえ、改造・発達させれば自爆用に使用することもできる。
軍当局はまた、坡州に墜落した無人偵察機の機体から無人機のシリアル番号と推定される2桁の数字を発見、機体が型枠を使って大量生産されたものだということも確認した。このため、軍当局は北朝鮮がこうした無人機を数十機量産した可能性が高いと暫定的ながら結論付けているという。
無人機の調査に携わった関係者は同日、本紙のインタビューに「無人機に装着されていたパラシュートは8回折り畳まれていた痕跡があった。無人機はこれまで計8回にわたり試験飛行や作戦を実行した可能性が高い」と語った。
国防部(省に相当)の調査によると、無人機の機体はレーダーに捉えられないようなプラスチックの一種「ポリカーボネート」で、少なくとも3-4年前に作られた可能性が高いという。政府関係者は「これらの点を総合すると、韓国が衛星を通じて北朝鮮の地域を一つ一つ監視しているのに対抗するため、北朝鮮は数年前から無人機を使って韓国の主要軍事施設や安保施設を偵察してきた可能性が高い」と述べた。