「ロトが当たらなければ…」 高額当選者の転落人生

暴行容疑で指名手配中にロト1等当たり、家族や友人に分け与える
8カ月後に逮捕されるも、大金で弁護士雇い罰金で済む
当せん金を使い果たし貴金属店で泥棒、服役後にはスマホ泥棒

「ロトが当たらなければ…」 高額当選者の転落人生

 2005年7月、慶尚南道馬山市(現・昌原市)に住んでいた指名手配中の男(当時25)は、たまたま購入したロト(数字選択式宝くじ)で1等に当たった。その4カ月前に馬山市内のインターネットカフェで従業員に暴行を加え、20万ウォン(現在のレートで約1万9000円、以下同じ)を奪ったとして警察に追われていた男が、一瞬にして「裕福な青年」になったのだ。当せん金(19億ウォン=約1億8150万円程度)は税金を差し引いて14億ウォン(約1億3400万円)ほどだった。男はこのうち5億ウォン(約4800万円)を、父親の住宅や個人タクシーの購入費に充て、1億5000万ウォン(約1400万円)は兄に渡して、ネットカフェを開業するための資金とした。

 定職に就いていなかった男は、1億ウォン(約960万円)を投じて自分でもネットカフェを開業したほか、友人など3-4人に2000万-3000万ウォン(約190万-290万円)を分け与えた。さらに1億ウォン相当のBMWも購入した。だが、指名手配中だった男は、ロトが当たってから8カ月後の06年3月、警察に逮捕された。ところが、巨額の報酬で弁護士を雇い、700万ウォン(約67万円)の罰金を支払うだけで2カ月後に自由の身となった。その後、男は残った金を、ソウル市内や江原ランド(江原道旌善郡)のカジノで使ったほか、高級遊興酒店(日本のキャバクラのような風俗店)にたびたび出入りして使い果たした。一方、ネットカフェの経営には失敗した。ロトで手にした金を使い果たすまでには2年もかからなかった。

 金を使い果たした男はやがて、泥棒行脚(あんぎゃ)を始めた。2007年4月、慶尚南道巨済市の貴金属店に押し入り、品物を買うふりをして150万ウォン(約14万円)相当のネックレス2個を盗むなど、十数回にわたって貴金属店やコンビニ、ゲームセンターなどで計500万ウォン(約48万円)相当の金品やたばこなどを盗んだ末、08年9月に職務質問を通じて逮捕された。

 服役を終え出所した男は、10年ごろから再び泥棒や詐欺を繰り返し、指名手配された。その後、警察の追跡を逃れるため、他人名義の携帯電話や車を利用し、慶尚南道昌原市周辺のオフィステル(住居兼事務室)やモーテルを転々としながら、逃亡資金を得るためにスマートフォン(多機能携帯電話端末)を盗むようになった。

 警察は「男は昨年12月、慶尚南道晋州市の携帯電話販売店で最新型のスマートフォン2台を購入するよう装い、300万ウォン(約29万円)程度のスマートフォン2台を持ち出すなど、昨年1年間に携帯電話販売店やアウトドア用品店などで135回にわたり、1億3000万ウォン(約1200万円)相当のスマートフォンや衣類などを盗んだ」と発表した。盗んだスマートフォンは、盗品を売買する業者に1台当たり15万-100万ウォン(約1万4000-9万5000円)で売り、現金を手にしていた。

 警察はまた「男は逃亡や泥棒行脚を続けていた間にも、宝くじで金をもうけようという幻想を捨てられず、盗んだ金で毎週大量の宝くじを購入していた」と説明した。だがその後、男が「一獲千金」の夢をかなえることはなかった。

 慶尚南道晋州警察署は、携帯電話の窃盗事件が相次いでいるとの情報を得て、同道内や釜山市の事件発生現場周辺の監視カメラの映像を分析するなどして、3カ月にわたり捜査を行った結果、昌原市内のモーテルに隠れていた男を探し出し、5日に逮捕した。警察は「逮捕された時点でも、男の財布の中にはロトやスポーツトト(くじ)などが十数枚入っていた」と発表した。警察の調べに対し男は「ロトのせいで人生が変わったように思う。ロトが当たらなければ、平凡な生活をしていただろう。再び社会復帰したら、ロトに対する未練を捨て、泥棒稼業から足を洗いたい」と供述した。

晋州= 権慶勲(クォン・ギョンフン)記者
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