【記者手帳】「韓国の小学生はアダルトサイト中毒」!?

 「内乱陰謀の容疑で李石基(イ・ソッキ)議員に懲役12年を宣告」「大学の新入生歓迎イベントの会場で屋根が雪の重みで崩落」「エジプトで韓国人観光客が乗ったバスにテロ攻撃」

 先月18日付の朝刊各紙はこれらの重大ニュースを一斉に報じた。しかし全ての朝刊が報じたもう一つの重大な記事があった。

 それは国務総理室(首相室)韓国青少年政策研究院が今月17日に発表した「韓国の小中高校生の睡眠時間」に関する調査結果を報じるニュースだった。それによると小学生の62%が「インターネットのアダルトサイトに熱中して睡眠不足」と回答したという。このニュースは直後からネットなどを通じて大きな波紋を呼び、主要紙も18日に一斉に報じるなど、まさに国全体に大きな衝撃を与えた。国民の間からは「政府は一日も早く対策を立てよ」などといった声が相次いだ。

 ところがしばらくするとこの結果は事実と異なることが分かった。驚いた女性家族部(省に相当)が青少年政策研究院に「小学生はここまでアダルトサイトに没頭しているのか」とあらためて問い合わせ、同研究院が数値を確認したところ、統計の数値が誤って発表されていたことが後から明らかになったのだ。アダルトサイトに熱中する小学生の割合は実際は2.1%だったが、これが61.6%と誤って発表されたのだ。また小学生が睡眠不足となる八つの理由のうち、七つの項目で同じように数値が間違っていた。

 青少年政策研究院は18日午前0時が過ぎてから、電話で各メディアに「統計の数値を訂正する」と伝えた。しかし18日付の朝刊で「韓国の小学生が睡眠不足となっている理由はアダルトサイトに熱中しているからではなく勉強のため」とする修正記事を掲載した新聞は、本紙を含めて2紙だけで、担当者にしっかりと連絡がつかなかったメディアは残念ながら誤報を広めてしまった。

 この誤ったニュースの影響は国内だけにとどまらなかった。中国の複数のメディアが「韓国の小学生はインターネットのアダルトサイト中毒により睡眠不足」と報じた。しかもヘッドフォンを頭に装着し、モニターに映るわいせつ画像を見る子どもの写真が同時に掲載された記事はそのまま残っている。日本の一部メディアも同じような記事を報じた。

 正確な統計調査を行い、その結果を分析して政策樹立のための基本データを提供するのが政府の研究機関の仕事だ。ところがその研究機関がこのようにとんでもないミスをしてしまい、しかもその修正に時間をかけてしまったことが原因で「大韓民国の子どもたちはアダルトサイト中毒」という恥ずべきうわさ話が海外で広まってしまったのだ。

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