■構成点で点数甘く
プログラム構成点(PCS)はキム・ヨナが74.50点、ソトニコワが74.41点と、キム・ヨナの方がわずかに高かった。キム・ヨナはスケート技術・動作・振り付け・曲の解釈で9点台を取った。動作・振り付け・曲の解釈に10点満点を付けた審判も2人いた。だが、要素のつなぎだけは8.96点だった。ところが、キム・ヨナのPCSで5項目全てに9点未満を付けた審判が1人いた。特に要素のつなぎには7.75点という悪意ある点を付けている。もちろん、審判9人の点数のうち最高点と最低点は除いて平均点を出すため、特に問題はなかった。
どんな人物が審判になって採点するかは公表されているが、匿名性が保障されているため、各審判がどのような点数を付けたかは分からない。コ・ソンヒ大韓スケート連盟理事はSPの審判には含まれていたが、フリーの審判団の抽選では漏れた。
キム・ヨナの今回のフリーPCS(74.50点)はバンクーバー冬季五輪(71.76点)や13年の世界選手権(73.61点)を上回った。キム・ヨナに対する点が辛かったというよりも、ソトニコワに対する点が甘かったと見るべきだろう。
審判団の中にはロシア・スケート連盟事務総長夫人や、以前に八百長判定を試みて1年間資格停止になったウクライナ人審判がいた。また、全9人中7人が欧州の審判だった。このため、ロシアや欧州の選手に有利な判定が下されたという声もある。ソトニコワのほかに銅メダルを取ったイタリアのカロリーナ・コストナーも73.77点という高いPCSをもらっている。
ソチ五輪のソトニコワは02年ソルトレークシティー五輪時のサラ・ヒューズ=米国=と共通点がある。ソルトレークシティー五輪では米国のミシェル・クワンとロシアのイリーナ・スルツカヤが金メダル候補に挙げられた。SPで1位だったクワンはフリーで予想外の不振に陥り、結局3位に終わった。SPで4位だったヒューズはフリーでトリプルジャンプ七つ(連続ジャンプを含む)をこなし、金メダルを取るという波乱を巻き起こした。スルツカヤはトリプルジャンプを六つこなした。ジャンプの質ではヒューズを上回っていると評されたが、「開催国のメリット」があるヒューズに勝てず、銀メダルに甘んじた。ソトニコワも自国開催のソチ五輪で、ロシア人選手としては初めて冬季五輪フィギュアスケート女子で金メダルを手にした。