【社説】日本にとって32万円の弾薬提供はそんなに騒ぐことか

 国連南スーダン派遣団(UNMISS)の一員として現地に派遣されている韓国軍の「ハンビッ部隊」が、現地で日本の自衛隊から小銃用の弾丸1万発の提供を受けていた問題が、韓国と日本との外交問題に発展しつつある。

 韓国と日本は弾薬提供が行われるに至った経緯について、互いに異なった説明をしている。韓国側は▲現地の国連軍を通じて要請した▲韓国軍が使用する5.56ミリ口径の銃弾を使う国は米国と日本しかない▲国連から弾薬の支援を受けた-とコメントした。これに対して日本側は▲韓国軍将校が現地で直接自衛隊に電話で支援を要請した▲国連は窓口の役割を果たしただけ-と主張している。韓国政府は日本側に対し「この問題を政治的に利用すべきでない」と強い遺憾の意を伝え、また韓国政府の一部では「これでは日本を正常な国と見なすことなどできない」と激しい怒りの声まで出ているという。

 支援された弾薬の数がたとえ何発であっても、緊急事態に直面した韓国軍に日本が弾薬を提供してくれたのはありがたいことだ。しかしこの決定を下して以降、安倍政権が示した態度は「日本という国の度量」をあらためて考えざるを得ないものだった。米国も今回3400発の銃弾を韓国軍に提供したが、今のところ何のコメントも反応もない。これに対して日本ではメディアが前面に出て、弾薬を積んだヘリが韓国軍部隊に到着する前からこの問題を大々的に報じ、現地の韓国軍指揮官が「感謝の意を伝えた」という事実まで公表した。

 安倍首相をはじめとする日本の閣僚たちは「今回のことをきっかけに『積極的平和主義』という原則に基づき、国際社会の平和と安定により貢献していきたい」との考えを相次いで表明した。安倍内閣が掲げるこの「積極的平和主義」という言葉の中には、日本の軍事的役割の拡大という意味合いが当然込められている。安倍内閣は韓国軍に330万ウォン(約32万5000円)分の弾薬を提供したことを「『積極的平和主義』が適用された最初の事例」のように宣伝し、同時に自衛隊が他国に実弾や武器を提供することを禁じる原則の「初の例外措置」であることも強調し始めた。

 韓国軍が国連に弾薬提供を要請した直接の理由は、韓国軍が保護している1万5000人の現地住民の安全を守るためだ。25日には韓国軍の駐屯地からわずか300メートルの地点に迫撃砲弾が落下した。このような状況をよく知るはずの日本が、1万発の弾薬提供を通じ、ありとあらゆる形で「恩着せがましい態度」を軽々しく取り続けるのは、本当に「せせこましい」態度だ。これでは近隣諸国が抱く日本に対する不信と不安はさらに大きくならざるを得ないだろう。日本は今、自らの足元を突き刺していることを知らねばならない。

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