「韓国が目指すバランサー外交、米中対立下では実現困難」

「新二極体制での韓国の選択」について専門家の提案は
集団的自衛権と防空識別圏に韓国は感情的に対応、米中日の全てから信頼を失う
誰も異議を唱えられない国際的なルールや原則に従う姿勢が必要

 このところの日本の集団的自衛権行使に向けた動きとそれに伴う米日同盟の強化、さらにこれに対抗するための中国による防空識別圏(CADIZ)の設定など、北東アジアでの米中両国の覇権争いが本格化する中、韓国もこれらの国々の間で国益を懸けた選択が迫られている。第2次世界大戦が終結し、冷戦時代の東西二極体制が崩壊して以降、中国の浮上により今度は米国と中国による「新二極体制」が形成されつつあるのがその理由だ。韓半島(朝鮮半島)を取り巻く現在の状況については、かつての中国の明・清交代期、あるいは旧韓末(朝鮮王朝時代末期)にも匹敵する大きな変化の時代になぞらえる見方もある。

 ソウル大学政治外交学部の鄭在浩(チョン・ジェホ)教授は「わが国が置かれた立場は(米中の間で)サンドイッチのようになりつつある」とした上で「今後、わが国にとってはさらにジレンマが大きくなるだろうし、これまで追求してきたバランス外交では対応し切れない困難な状況に直面するだろう」と予想した。

 専門家の多くはまず伝統的な韓米日三角同盟への復帰を急ぐよう提言している。峨山政策研究院の崔剛(チェ・ガン)副院長は「米中の双方とうまくやっていくのは限界がある。米国を通じて中国をけん制する『以米制中』にむしろ力を入れねばならない」と述べ、さらに「大きなチャイナ・フィア(中国への恐怖心)を抱く一方で、中国が最後まで韓国に良くしてくれると期待するのは錯覚だ」と主張した。かつて政府で外交安全保障政策を担当したある元官僚は「中国は覇権競争に乗り出しており、今後も(防空識別圏問題のような)『挑発』を続けてくるだろう」「韓国政府としては日本と米国の衰退を放置するのは良くない。とりわけ中国に対する日本のけん制力を生かしておく必要がある」と提案する。

 一方で中国との関係にもっと力を入れるべきとする意見もある。民間のシンクタンクに所属するある研究者は「中国は最近の6カ国協議再開問題などで、期待していたほど韓国が支援してくれなかったと考えているようだ」「韓米同盟により生じるアンバランスを修正する姿勢を、もっと中国側に示す必要があるのではないか」と述べた。

 今後、韓国が米中両国の間でバランスを取るのは一層難しくなる上、この状況は当分続くと予想されるため、何らかの懸案が生じた場合、誰も異議を唱えることができない国際的なルールや原則に基づいて自らの立場を定め、これを守っていくことが望ましいと専門家たちは指摘する。

 西江大学の金英秀(キム・ヨンス)教授は「米中の間で右往左往せず交渉力を高めるための方法は、懸案ごとに韓国の立場をまずは確実に提示することだ」と語る。韓国は最近の日本による集団的自衛権行使の問題や中国の防空識別圏問題などに対し、かなり感情的に対応してしまった。そのため米国、中国、日本の全てから信頼を失いつつあるというのだ。

 国立外交院の尹徳敏(ユン・ドクミン)院長は「米中の間にはさまざまな対話ルートがあり、また経済など多くの分野で相互依存関係が確立されている」「米国は『沈む太陽』で中国は『浮上する太陽』などと単純化し、どちらかを選択するという考えは望ましくない」と主張した。

黄大振(ファン・デジン)記者
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