日本のメディアは27日、韓国文化体育観光部(省に相当)の劉震竜(ユ・ジンリョン)長官が同日に下村博文・文部科学相と行った会談で、韓国の窃盗グループが長崎県対馬市で盗んだ「観世音菩薩座像」について「日本に返還すべきだ」との見解を示したと報じた。この仏像は14世紀に忠清南道・瑞山の浮石寺に奉安されたもので、昨年10月に窃盗グループが対馬の観音寺から盗み、韓国に持ち込んだ。浮石寺は倭寇(わこう)に略奪されたものだと主張し、日本に渡った経緯が分かるまで返還しないよう求める仮処分を申請、大田地裁が今年2月に認めた。
こうした状況の中、日本の報道を受け「文化体育観光部長官がどうして略奪された文化財を返還するなどと言えるのか」という批判が巻き起こっている。劉長官は「(盗難・略奪による文化財は返還すべきとの)国際規約に従うべきだという原則的な一般論を述べただけ」と釈明したが、議論は依然収まっていない。
海外に持ち出された韓国の文化財約15万点のうち、44%に当たる6万6000点余りが日本にあるという。日本の民間の博物館には、世に知られていない国宝級の絵画や陶磁器が数え切れないほどたくさん所蔵されている。数多くの文化財が奪われ、盗掘されて日本に持ち出されたことを考えると、仏像を日本に返したくないと思うのも無理はない。
だが、今必要なのは、どうすれば日本各地に存在する韓国の文化財を取り戻せるかという戦略的な思考だ。文化財の返還を実現するには、まずは私たちが国際社会の常識と慣例に従う姿を示す必要がある。米国は、6・25戦争(朝鮮戦争)の際に米兵が盗んだことが判明した文定王后の御宝(王室の印章)と旧韓末(朝鮮王朝時代末期から大韓帝国までの時期)の貨幣の印刷用原版を韓国に返還したか、または返還する予定だ。このように、強奪されたことが明らかな文化財は返還するというムードが国際社会に広がっている。仏像の問題もこうした国際的な流れを促進するという観点に立ち、得失を考え適切に対応する必要がある。