【記者手帳】論文盗作という深い闇を暴く

「ついに来るべきものが来た」

 先月中、記者と会った大勢の学界関係者が、論文盗作問題に対しこのような反応を示した。ある国立大学の教授は「過去数十年間、皆『おかしい』と思いながらもやり過ごしてきたが、今回はメディアの報道で大騒ぎになってしまったので、そのままやり過ごすことはできないのではないか」と語った。

 本紙がソウル大学の教授105人を対象に盗作意識に関するアンケート調査を実施したところ「これまで言いたかったことを、今こそ言う」と、長い文章を送ってきた教授もいた。ソウル大学人文系列のP教授は「多くの人が盗作問題に少なからず関わっており、これまで思い切った指摘ができなかったが、今こそ本当に学界は変わらなければ」と強調した。大学など学界での盗作は、ほとんど日常化している。相当数の大学教授が「正直な話『自己盗作』が何なのかも知らなかった」と白状した。研究倫理に精通したある学界関係者は「修士論文は、程度の差こそあれ、ほとんどが盗作だと見ていい」と断言した。

 過去の慣行に安住し、厳しい基準を受け入れられない人も多かった。しかし、本紙の盗作企画を応援する声の方がはるかに大きかった。山のような情報提供があり「今回問題が明らかになったのを機に、慣行を一気に変えよう」という応援の電子メールも多数届いた。

 しかし、進むべき道のりはまだ遠い。盗作関連のある専門家は「教授社会だけの問題ではなく、盗作に寛大な韓国社会全体の問題」「盗作した学位論文で成功の足場を作り、盗作した学術論文で国庫支援金を受け取ることを『能力』だと考える社会の認識が問題」と嘆いた。社会全体の学閥主義や「盗作不感症」を打破しなければ、根本的解決は難しいというわけだ。

 それでも、今回のシリーズを通して、変化の小さな糸口は確認できた。同僚の教授の盗作を内部告発した教授、自ら過ちを告白した教授、学界の温情主義に苦言を呈した教授…。こうした人々が、韓国社会での盗作の根絶に向けた大切な第一歩を踏み出すだろうと期待している。

ヤン・スンシク社会部記者
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