国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録されている朝鮮王陵のうち、一部で斎室(祭礼準備や管理人が宿泊するための建物)が事務所や倉庫として使われるなど、管理がおろそかになっていることが分かった。国会文化体育観光放送通信委員会に所属する都鍾煥(ト・ジョンファン)議員(民主統合党)は5日、文化財庁国政監査で「非公開になっている文化財を調べた結果、京畿道坡州市の長陵(朝鮮王朝時代第16代国王・仁祖と王妃・仁烈王后の陵)などで管理が特におろそかだった」と述べた。
5日に坡州市の長陵に行ってみた。「立ち入り禁止」の看板が掛かった金網の戸を抜けると、斎室が見えた。朝鮮王朝中期に建てられた母屋や入口横の建物「行廊棟」がそのままの姿で保存されている一方、日本に占領されていた1930年代に建てられた建物は、管理者にとって使いやすいように作り替えられていた。縦6メートル、横9メートルという建物の部屋には監視カメラ用モニターのデスクがあり、当直室になっていた。さらに、別の部屋にはキッチンのシンクまで設置されている。都議員は「部屋の中には電気カーペット、シンクには電磁調理器もあった」と述べたが、この日訪れたときにはそれらは片付けられていた。
文化財庁関係者は「予算不足などの問題により、一部の王陵で斎室を管理用途で使用していたが、段階的に復元を進め、現在は朝鮮王陵17カ所のうち坡州の長陵と京畿道金浦市の長陵の2カ所だけで斎室の一部が管理用に使用されている。金浦市の長陵は2014年までに別の建物を建てて管理施設を移し、斎室は原状回復する予定だ。坡州市の長陵も来年には予算を確保し、復元計画の検討に乗り出す」と話している。