在日韓国人作家の柳美里(34)氏が、日本の文壇の病弊を辛辣(しんらつ)に暴いたエッセー集『世界のひびわれと魂の空白を』(文学村(ムンハクドンネ))が翻訳出版された。
柳美里氏はこの本の最終章「監視塔から監視されて」と題した文で、日本で影響力のある評論家として有名な福田和也(慶応大教授)氏を感情的な言辞まで用いて痛烈に批判している。この文は福田氏が『新潮』1999年3月号で「柳美里の人間性を誹謗中傷して、小説『ゴールドラッシュ』を全面的に批判したことに対する反論」の形式で書かれた。
柳美里氏はまえがきで「評論家という存在はまさに権力的だ。彼らはいつ、どんなことを言っても懲戒を受けず、どんなに大風呂敷を広げても文芸と関わる小さな集団の中で特権を得たように行動することができる」と記している。
また、「福田氏は文壇内で、独占的な証券会社の経営主として作家を苦しめながら人生を営んでいる」としながら、「彼は有望な作家には唾を付けておき、彼らとの親密な関係を強調して「福田ファミリー」のようなものを形成している」と非難した。
柳美里氏はまた、ある飲み屋で他の評論家から「あんたが柳美里か。本は読まなかったが、顔だけ見ればくだらない小説だってすぐに分かるな」、「よく見れば整った顔してるね。ヌード写真集でも出せば売れるんじゃない?」などと侮辱を受けたエピソードも紹介している。彼女は「私にとって小説を書くという行為は個人的な聖戦だ」と文を結んでいる。