宋義達(ソン・ウィダル)のチャイナ・プリズム
中国政治・外交の専門家、チュ・ジェウ慶煕大学教授インタビュー(2/3)
■「中国の圧力を恐れて沈黙する韓国の知識人」
-韓国の中国専門家や知識人らは、こうした現実になぜ沈黙しているのか。
「中国によって不利益を被るのではないかという考えが強い。中国当局は韓国の学者や官僚らの発言・記事などをモニタリングしている。だが、中国当局がビザ発給中止のような制裁を加える..
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宋義達(ソン・ウィダル)のチャイナ・プリズム
中国政治・外交の専門家、チュ・ジェウ慶煕大学教授インタビュー(2/3)
■「中国の圧力を恐れて沈黙する韓国の知識人」
-韓国の中国専門家や知識人らは、こうした現実になぜ沈黙しているのか。
「中国によって不利益を被るのではないかという考えが強い。中国当局は韓国の学者や官僚らの発言・記事などをモニタリングしている。だが、中国当局がビザ発給中止のような制裁を加えるケースは、米国議会の聴聞会に出席して中国を批判するくらいのレベルのときだ。韓国には、それほどの実力や影響力を持つ中国専門家がいない。多くの専門家が錯覚して、何も起きていないうちからおびえているのだ」
-ほかにも理由があれば。
「もう一つ挙げるとするなら、韓国の学者や専門家、指導層が中国から非常に多くの特別待遇や接待を受けているからだ。中国共産党や政府機関からの『シャープパワー(sharp power。資金援助、買収、脅迫、世論操作といった手法での影響力行使)』攻勢に韓国のエリートが籠絡されている」
■「韓国の知識人、中国の機嫌を恐れて自己検閲している」
-韓国のエリートらに小中華意識が染み付いているからなのか。
「近代以前の時代、長い間続いた『小中華意識』の影響もあるだろう。だが今は全ての国が、譲渡し得ない主権(sovereignty)を有する国家として認められ、これが当然視されている時代だ。韓国のエリートらは、対中関係において『独立』と『自主意識』が貧弱だ。中国が韓半島で覇権的攻勢を繰り広げているのに、韓国の指導層は中国の機嫌を過剰といえるほど意識し、刺激しないようにという敗北主義的自己検閲を繰り返している」
-「集団恐中症(中国恐怖症)」に陥っているようだ。なぜこうなったのだろうか。
「三つの強迫観念に陥っているからだ。韓半島の統一において中国が決定的役割を果たし、中国が北朝鮮非核化の鍵を握っており、中国市場は絶対に失ってはならない極めて重要な場所だ、という強迫観念だ。だが三つとも全て幻想、錯覚だ」
■「三つの『対中強迫観念』に陥った韓国指導層」
-どういう理由からか。
「中国は1992年の韓中国交正常化後も北朝鮮式の韓半島統一を一貫して支持している。北朝鮮非核化の場合、米国が中国に『行動せよ』とどやしつけてようやく最後に動くだけで、それすら決定的な役割を果たせない。最後に、韓国の2019年度対中貿易黒字は前年比で半分になった。コロナ発生前に起きたこうしたことは、政権レベルの低姿勢対中外交が韓国経済の役には立たないという傍証だ」
-韓国右派政権の対中外交を評価するとしたら?
「李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クンへ)政権は『韓国=親米国家』というイメージのおかげで中国政権にもてなされた。2008年の1年間だけでも、李明博大統領は胡錦濤・中国共産党総書記と8回も首脳会談を行った。親米政権という理由から、中国の『ラブコール』をかなり受けた。しかし右派政権は黄砂、粒子状物質、古代史といった分野で韓国の利益をしっかり確保できなかった。ただし、韓国企業の中国進出と成長には役立った」
-文在寅(ムン・ジェイン)政権の対中外交はどうか。
「韓中国交正常化以降、中国共産党政権に対してこれほど盲目的にへつらう韓国の政権は初めてだ。中国訪問時の『一人飯』や随行記者暴行のような数多くの外交的非礼に、きちんと抗議すらできなかった。現政権の支持者らは、文在寅大統領の『一人飯』訪中に関して『“内容”さえあればよく、“形式”は重要ではない』と強弁する。しかし中国共産党以上に『儀典』を重視する政権は世界にない。中国において、『形式』上の軽蔑は実際にも蔑視だ」
■「対中外交、右派政権は6-7点、文政権は4-5点」
-左派・右派政権の対中外交に点数を付けるとすると?
「右派政権に10点満点で6-7点付けるとするなら、文在寅政権は4-5点だ。韓国の政権が米国と親密になればなるほど、中国は韓国をより重視し、より優待したと分かる。韓国の次期政権も、この点を考慮すべきだろう」
-文政権発足から満4年が経過したが、習近平訪韓は実現していない。
「私は2017年12月から『習近平は文政権の任期中、絶対に訪韓しない』と公言している。習近平が韓国に足を踏み入れる瞬間、それはTHAAD(高高度防衛ミサイル)問題が解決したことを宣言することになる。中国は『THAAD』問題を口実に、韓米同盟の環を断つことを最高の外交戦略目標にしている。THAADが解決されないかぎり、習近平は来ないだろう」
チュ教授は「文在寅政権のもう一つの大きな問題は、中国共産党と韓国国民にあまりにも多くの『うそ』をついたという点」とし「文政権は中国に『THAAD』を責任を持って解決すると声を張り上げ、環境評価の延期のような小ざかしい手を使ったが、THAADはそんなやり方で解決できない」と語った。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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