韓国財界14位の企業で大韓航空などを中核とする韓進グループの趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長が8日、急逝した。肺疾患を患った趙会長は3月27日、大韓航空の株式総会で大株主の国民年金による反対により、登記理事(取締役)を解任された後、病状が急激に悪化したという。趙会長は先月末までは会社の業務報告を受けることが可能な程度の健康状態を維持していたとされるだけに、急な訃報は衝撃的だ。
趙会長は文在寅(ムン・ジ..
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韓国財界14位の企業で大韓航空などを中核とする韓進グループの趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長が8日、急逝した。肺疾患を患った趙会長は3月27日、大韓航空の株式総会で大株主の国民年金による反対により、登記理事(取締役)を解任された後、病状が急激に悪化したという。趙会長は先月末までは会社の業務報告を受けることが可能な程度の健康状態を維持していたとされるだけに、急な訃報は衝撃的だ。
趙会長は文在寅(ムン・ジェイン)政権下で代表的な「積弊企業人」と位置づけられ、全方位的な圧力を受けてきた。昨年4月に趙会長の次女が起こした「水掛けパワハラ事件」以降、趙会長とその家族は政府機関を総動員した攻撃を受けてきた。検察、警察はもちろん、関税庁、公正取引委員会、教育部、雇用労働部、保健福祉部(部は省に相当)など11の機関から25件の捜査や調査を受けた。水掛け事件とは関係がない別件捜査に発展し、密輸、メイドの不正雇用といったさまざまな事件でたたかれた。韓進グループの系列企業は18回にわたり家宅捜索を受け、趙会長一族は14回にわたり、検察、警察、法務部などに出頭した。関税庁長が「趙会長の自宅には『秘密の部屋』がある」と公に発言したが、実際には存在すらしていなかった。こんな魔女狩り、人民裁判はほかにあるだろうか。特定企業の経営者一族にこれほど国家機関が総動員されたことはない。
しかし、検察は水掛けパワハラ事件を不起訴とした。趙会長一族に対する逮捕状が請求が全て却下されると、矛先は趙会長に向かった。検察は航空機整備と機内免税品の調達過程で数百億ウォン台の横領があったとして、趙会長を起訴した。国民年金は「株主価値を損ねた」として、趙会長を大韓航空の理事会(取締役会)から追放した。持病がある患者がこれほどの目に遭って、それでも死ななければおかしいと言えるほどだ。
大企業のオーナー家族によるパワハラや不道徳な行為は非難されて当然だ。趙会長家族は会社の元役員からもそっぽを向かれるほど身の処し方に問題が多かった。しかし、道徳的な非難と法律に基づく処罰が厳密に区別されなければならない。法治とはある行為に犯罪事実がある場合、その容疑を立証し、処罰することだ。反対に特定の人物をターゲットと定め、とにかく捕まえてやるという目的で法律を利用し、ほこりを立てようとすることは法治ではない。趙会長の死について、財界からは「パワハラ殺人だ」という嘆きも聞かれるという。無理からぬことだろう。
現政権が発足後、「積弊清算」の対象となった4人が自ら命を絶った。李載寿(イ・ジェス)元国軍機務司令官、ソウル高検の辺昶勲(ピョン・チャンフン)検事、国家情報院に所属していたJ弁護士、軍需産業の積弊というレッテルを張られて捜査を受けていた企業役員だ。ところが彼らの容疑はあいまいだったり、立証されていないものが大半だ。大衆の怒りに野合する公権力は暴力にほかならない。趙会長の死は自由民主主義と市場経済の根幹である法治主義が今の韓国社会でまともに働いているのかという疑問を投げ掛けている。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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